【犬がたまに吐くので心配になる...種類と原因について】

2025/06/16

【犬がたまに吐くので心配になる...種類と原因について】



 犬が吐くのは、飼い主さんにとって心配なことですよね。一言で「吐く」と言っても、その原因は多岐にわたり、緊急性の高いものから一時的なものまで様々です。ここでは、犬が吐く原因の種類、理由、対策について詳しく解説します。





犬が吐く主な原因の種類と理由

犬が吐く原因は大きく分けて、消化器系の問題、消化器系以外の問題、そして一時的なものに分類できます。

1. 消化器系の問題

  • 異物誤食:
    • 理由: おもちゃ、布、ビニール、石、植物など、犬にとって消化できないものを誤って飲み込んでしまった場合、消化管に詰まったり、刺激を与えたりして嘔吐を引き起こします。特に子犬は好奇心旺盛で、何でも口にする傾向があります。
    • 危険性: 腸閉塞などを起こし、緊急手術が必要になることもあります。
  • 食あたり・食中毒:
    • 理由: 腐った食べ物、人間の食べ物(特に犬に有害なもの:チョコレート、ネギ類、ブドウなど)、質の悪いドッグフード、あるいは普段と異なる食べ物を食べたことで、胃腸が炎症を起こしたり、毒素を摂取したりして嘔吐します。
  • アレルギー・食物不耐症:
    • 理由: 特定の食材に対してアレルギー反応を起こしたり、消化酵素が不足していてうまく消化できなかったりすると、嘔吐につながることがあります。
  • 胃腸炎:
    • 理由: ウイルス、細菌、寄生虫感染、あるいはストレスなどが原因で、胃や腸に炎症が起き、嘔吐や下痢を伴うことがあります。
  • 膵炎:
    • 理由: 膵臓の炎症で、激しい嘔吐や腹痛が見られます。脂肪分の多い食事などが引き金になることがあります。
  • 潰瘍・腫瘍:
    • 理由: 胃や腸に潰瘍や腫瘍(できもの)ができている場合、消化管の機能が低下したり、出血したりして嘔吐を引き起こすことがあります。
  • 幽門狭窄症など:
    • 理由: 胃の出口(幽門)が狭くなっている先天性または後天性の病気で、食べたものが十二指腸へ流れにくくなり、食後すぐに吐くことがあります。

2. 消化器系以外の問題

  • 腎臓病・肝臓病:
    • 理由: 腎臓や肝臓の機能が低下すると、体内の老廃物が適切に排出されず、それらが蓄積することで吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。
  • 糖尿病:
    • 理由: 血糖値のコントロールがうまくいかないと、代謝異常が起こり、嘔吐が見られることがあります。
  • 熱中症:
    • 理由: 高温多湿の環境に長時間いることで体温が異常に上昇し、吐き気、嘔吐、ぐったりするなどの症状が現れます。非常に危険な状態です。
  • 乗り物酔い:
    • 理由: 車の揺れや、移動中のストレスが原因で、自律神経が刺激され、乗り物酔いとして嘔吐することがあります。
  • ストレス・興奮:
    • 理由: 環境の変化、分離不安、雷や花火などの大きな音、過度の興奮などが原因で、一時的に胃の動きが乱れて吐くことがあります。
  • 痛み・病気:
    • 理由: 激しい痛みを感じる場合や、頭部の病気(脳腫瘍など)が原因で嘔吐することもあります。

3. 一時的な生理現象

  • 空腹時の胃液嘔吐:
    • 理由: 長時間何も食べていないと、胃液が逆流したり、胆汁が混じった黄色い液体を吐いたりすることがあります。
  • 早食い・食べ過ぎ:
    • 理由: 急いで食べたり、大量に食べ過ぎたりすると、胃に負担がかかり、消化不良を起こして吐き戻すことがあります。未消化のフードをそのまま吐くことが多いです。
  • 吐き戻し(逆流):
    • 理由: 食道に問題がある場合や、食道の機能が低下している場合、食べたものが胃に入る前に逆流して吐き出すことがあります。嘔吐とは異なり、お腹に力が入らずに出るのが特徴です。

犬が吐いたときの対策

犬が吐いた場合、まずは落ち着いて様子を観察し、状況に応じて適切な対応を取りましょう。

1. まず観察すること

  • 回数と頻度: 一度だけか、何度も繰り返しているか。
  • 吐いたものの内容: 未消化のフード、消化されたもの、透明な液体(胃液)、黄色い液体(胆汁)、泡、血液、異物など。
  • 嘔吐以外の症状: 下痢、食欲不振、元気がない、ぐったりしている、震え、発熱、腹痛、よだれが多い、呼吸が荒いなど。
  • 直前の行動: 散歩後、食事後、何かを口にした後、ストレスがかかる出来事があった後など。

2. 緊急性が高い場合の対策(すぐに動物病院へ!)

以下の症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診してください。

  • 何度も繰り返し吐いている(特に水すら飲まない)
  • 吐いたものに鮮血や黒い塊(消化された血液)が混ざっている
  • 異物を誤食したことが確実、またはその可能性がある
  • ぐったりしている、意識が朦朧としている
  • 激しい下痢や腹痛を伴う
  • 熱中症の症状(パンティングが激しい、ぐったり、体温が高い)が見られる
  • 痙攣を起こしている
  • お腹が異常に膨らんでいる(胃拡張・胃捻転の可能性)
  • 子犬や老犬の場合(体力がないため、すぐに重症化する可能性があります)

3. 様子を見ても良い場合の対策(自宅でできること)

一時的な嘔吐で、犬が元気で食欲もあり、他の症状が見られない場合は、以下を試してみてください。

  • 絶食させる: 胃腸を休ませるために、数時間(半日程度)絶食させます。ただし、子犬や高齢犬、持病のある犬の場合は、獣医に相談してからにしてください。
  • 少量の水を与える: 絶食後、吐き気が治まっていれば、少量の水を何度かに分けて与えます。一気に与えるとまた吐いてしまうことがあります。
  • 消化しやすい食事を与える: 水を飲んで吐かないようであれば、おかゆ、茹でた鶏むね肉(ささみ)、療法食など、消化しやすいものを少量ずつ与えます。
  • 食事の与え方を見直す: 早食いの場合は、早食い防止用の食器を使ったり、食事の回数を増やして1回量を減らしたりする。
  • 異物を置かない: 犬の届く範囲に危険なものを置かないように徹底します。
  • ストレスの軽減: 環境の変化や苦手な音など、犬がストレスを感じる要因を取り除く工夫をします。

まとめ

犬が吐く理由は非常に多岐にわたります。単なる一時的な体調不良であることも多いですが、中には命に関わる重篤な病気のサインである場合もあります。

最も大切なのは、吐いた後の犬の様子をよく観察し、少しでも異変を感じたり、不安な場合は迷わず動物病院を受診することです。 飼い主さんの早期の判断と行動が、愛犬の命を救うことにつながります。

ご不明な点や不安なことがあれば、いつでもかかりつけの獣医師に相談してくださいね。



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